朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

BIRTH

舞台「BIRTH」観てきました。

登場人物4人、ストレートプレイの現代劇。
私が行った回のダブル・トリプルキャストは以下のとおり。

ダイゴ:梅津瑞樹さん
ユウジ:杉江大志さん
マモル:後藤大さん
オザワ:北園涼さん

 マイクなし、セット転換もほとんどなし、ほとんどが4人のセリフで展開されるストレートプレイの舞台。
現代劇だし、4人のお芝居がダイレクトに届いてたまらない。

前情報入れずに見に行きましたが、内容は結構ヘビー。
今回パンフレットがないので、備忘録も兼ねてちょっと細かく感想。

ユウジは刑務所で出会ったオザワという男の手を借り、オレオレ詐欺を始める。
ユウジは過去にオレオレ詐欺出し子として受け取った金を持ち逃げしてしまい、組織にそれを許してもらうために金を必要としていた。
ダイゴとマモルは薬の詐欺で小銭を稼いでいたところ、ダイゴの友人であったユウジにオレオレ詐欺の話を持ちかけられ、オザワを含めた4人で詐欺を始めることに。
しかし、オレオレ詐欺で電話をかけた相手は、幼い頃に離ればなれになったダイゴの母親だった。
相手が誰であろうと詐欺を続けたいというユウジ、母親から金は取りたくないからやめというダイゴ、ダイゴに好意を寄せかばうマモル、傍観するオザワ。
決裂したユウジとダイゴ、ナイフや銃を持ち4人がもみ合いになる中、ユウジが死んでしまう。
そこでオザワが突然身の上の話を始める。
オザワの兄には障害があり、施設などで保護を受けられるよう貯金をしていた。
しかしオザワの母はオレオレ詐欺にあい、貯金をなくし、自殺に追い込まれたという。
犯人を追っていたオザワは、ユウジとダイゴが出し子をしていたことを突き止め、復讐の機会を狙っていた。
オザワはダイゴのことも殺そうとするが、懇願するダイゴに、ATMの向こうにいる人の子とを考えてくれ、後悔してくれと言い残し、ダイゴは出頭することを決める。

途中サイコホラーかと思うくらい、人間怖いと思った。
ユウジ、ダイゴ、マモルは親を亡くしていたり、幼い頃に離ればなれになったりして施設育ちという悲しいバックボーンがあるけれど。
それでも、感情論が通じず力と金が以外の理屈が通らないユウジとか。
争う4人を傍観しつつ何を考えているかわからないオザワとか。

杉江さん演じるユウジの凄みはすごかった。
杉江さんのお芝居大好きだしうまいし、うまいからこそ怖くて嫌なヤツさが溢れ出ていて。
ユウジも親との辛い過去があって形成された性格だと理解しても、やっぱり怖い。
梅津さんのダイゴは常に感情前回でパワーがすごい。
梅津さんって見た目がクールな印象なので、お芝居を見るたびに感情表現のうまさとかパワフルさにびっくりしてしまう。
ユウジの考えに対する怒り、母親と会話する切ない声、殺さないでと泣きながら懇願する姿、ユウジと対立しながらも悪いヤツではなかったという穏やかな表情。
作中でも一番感情の変化があるキャラで面白かった。
後藤さん演じるマモルは、ユウジと繋がりはなくダイゴの友達なので物語としては一歩引いた存在。
ダイゴのことが好きで、しかし性の対象として拒絶され涙する姿が切ない。
幼い頃に両親を事故で亡くし愛がわからにというマモル。
ダイゴのことも恋愛対象として好きだったのか、一番そばにいる友人への友情を愛と思っていたのか、切ないキャラ。
北園さん演じるオザワは、前半のミステリアスな傍観者から、後半の復讐者への豹変が面白く、やはり怖かった。
ラストに、詐欺名簿にダイゴの母親の連絡先が入っていたのは偶然か、仕組んだのか、話すシーンがあったけれど、オザワは二人を試してたのかな。
ユウジは親を殺したと、嘘か真か話していたから連絡先が入っていたか定かではないけれど。
ダイゴは母親の連絡先を引き当て、金を騙しとるということの重大さを理解したから最後にオザワに殺されずにすんだんだろうなぁ。

ハッピーエンド大団円というわけではないけれど、嫌なヤツだと思うところも行動理由や生い立ちが語られていて理解はできたので満足。
いいお芝居が見られました~。