朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

言式 或いは、ほら

言式「或いは、ほら」
梅津さん・橋本さんの演劇ユニット「言式」の第2弾公演。
今作も梅津さん脚本の独特の世界観と、二人芝居の良さもあり楽しかった。

会場のI’M A SHOWは初めて行ったけれど、有楽町駅からすぐでアクセス良好。
前方見切れ席でしたがあまり見えづらい感じもなく?良かった。

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ネタバレ感想



今作もオムニバス形式の物語。
宇宙というワードも度々出てくる不思議で掴みどころのない世界観。
カテコで梅津さんも「お客さんも気が抜けない」と仰っていたけれど、セットも衣装もほぼ真っ白のシンプルな舞台装置だからこそ、集中力と想像力をフル回転させて頭の中で世界を構築していく感覚。

・少年とおじいさん
 鍵っ子で家で寂しい思いをしている少年@橋本さんは、自転車で駆け出し海が見える場所に辿り着き、おじいさん@梅津さんに出会う。
 柵に乗って景色を見ているうちに二人は海に落ち、そこで宇宙を感じる。
 初手から大好きな“梅津さんのじじい芝居”が見られて嬉しい笑
 鬱々とした気持ちを抱えた少年が海を見て気晴らしをするのかと思いきや、一気に暗い海と宇宙にダイブしていくところで言式ワールドに引き込まれる。

・パートと客
 レジ打ちをしているパートの女@梅津さんと、客として訪れた同級生の男@橋本さんが再会する。
 当時、クラスのマドンナだった女に告白したが振られた男。
 あの時告白をOKしていたら、或いは―と、二人のIFの物語が展開され、そして女優になりたかった女は夢を叶えて女優業をやっているところで現実に戻る。
 どこまでが女優としての芝居だったのか、想像の中にさらに劇中劇があり短い物語の中で設定が二転三転していくところが面白い。

・ケーキ屋のバイトの二人
 クリスマスツリーの着ぐるみでケーキを売る男@梅津さんと、同じくバイトの女@橋本さん。
 満たされない虚しさを抱えている女の元に、パパ活の客が現れ再開を迫られているところに、彼氏候補の男も鉢合わせ、男たちは女を捨て去って行く。
 そんな時に励ましてくれる着ぐるみの男を見て、“サンタ”を見つけたと気づく女。
 前の2話に比べて情景が浮かびやすいストーリー。
 お金で満たされずに悶々とする女のリアルさが切ない…。
 そして前回公演に引き続き、木の着ぐるみで登場する梅津さんだけど、役としては別人なのかな。

・会社員の男
 会社の喫煙所で愚痴をこぼす二人の男、上司に媚びる男@橋本さんと、妻と娘から疎外感を感じる男@梅津さん。
 人形を使っての芝居…会社での姿というか、人形のように“無”になって働いているような姿がにただただ哀愁を感じる。
 
・家族
 祖父、父、母、姉、弟の一家の年末の一場面。
 これまで登場したキャラ達は一つの家族だったと、それぞれの物語の点と点が繋がり、キャラ達のその後が垣間見えるのが面白い。
 梅津さんの母(パートの女)、父(会社員の男)と。
 橋本さんの姉(バイトの女)が既出キャラかな。
 弟@橋本さんはここでの新キャラか?
 1話目の少年と似ているけど「犬はクラシックが好き」ということを知らなかったので別人で、逆に、祖父@梅津さんは、それをということを知っていたので、1話目の少年のその後の姿なのか。
 二人で演じることで、役者と役が固定されていないからこそ、同一人物なのか別人なのか想像の余地があるのが面白い。
 そして、5人のキャラを2人で同時に演じるのも見事で、見入ってしまった。

・犬と宇宙?
 橋本さんが「宇宙さん」と語り掛け、梅津さんが応える。
 会社員の男が妄想していた犬「クドリャフカ」は、実際にソ連が打ち上げた犬の名前だったので、孤独に宇宙を漂う犬とそれに寄り添う宇宙なのか。

今作も色々な役を演じるお二人を見られて楽しかった。
1時間半で大満足。
言式の次作にも期待です。