朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

ミュージカル スウィーニー・トッド

ミュージカル「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」
3/23夜公演、行ってきました。

作品の存在を知ってから再演を待っていた作品。

horipro-stage.jp

 


ネタバレ感想


ダブルキャスト
アンソニー糸川耀士郎さん
ジョアンナ:熊谷彩春さん
ターピン:上原理生さん
トバイアス:加藤諒さん


理髪師のベンジャミン・バーカーは無実の罪で流刑となり、美しい妻と娘を判事のターピンに奪われる。
15年後、スウィーニー・トッドと名前を変えてロンドンに戻った彼はパイ屋のラヴェットと協力し、ターピンへの復讐を企てる。
娘のジョアンナはターピンの養女として育てられるも、ターピンから結婚を迫られていた。

映画版などは未視聴なので完全初見。
18世紀ロンドンが舞台ということで、仄暗いホラーを想像していたけれどコメディ要素もあって笑えるシーンも多い。
笑えるからこそ、ホラーに転換したときに見えるキャラの狂気が怖さが倍増する。
特に、明るくてトッドに恋心を寄せるラヴェット@大竹さんのキャラが実は一番サイコなのではないか。

トッドはターピンへの復讐心と、計画が思うように運ばない焦燥感という動機が明確かつ、復讐という共感できて人間味がある。
けれど、ラヴェットは剃刀で復讐するという計画の立案者であり、彼が殺した人間で人肉パイを作り、そしてトッドの妻・ルーシーが乞食となって生きていることを隠して、彼の後妻となろうとする。
トッドへの恋心といえば可愛いけれど、そのためなら嘘も殺人も死体処理も犯せてしまうところが恐ろしく、犯罪がバレそうになることに焦りはするものの犯罪行為自体には躊躇いがない。
トッドが殺人鬼というのは何となく知っていたけれど、人肉パイの設定は初めて知って驚いた。
殺人自体よりもその肉を客に食べさせていること、そして何も知らずに美味しいパイだと店が繁盛している様子の方がおぞましく感じる。
大竹さんの明るく朗らかなお芝居と相まって一層サイコ。

逆に敵である判事・ターピンの方が高潔で合理的。
ただ、高潔すぎるが故に考えが飛躍してしまっているだけで。
ジョアンナを軟禁することで外の危険から「守り」、成長した彼女を女性として見てしまう邪な気持ちを自らを鞭打ち?することで静めようとする。
結婚を迫るのも、どこぞの男よりも地位や財力のある自分の側にいることが彼女の幸せだと信じているからこそ。
根本的にトッド(ベンジャミン・バーカー)の妻に横恋慕しなければ全ては起こらなかったことを思うとやっぱりヴィランなんだけど。
役の設定が70歳くらいだそうで、最初に登場したときは上原さんだと気づかないくらい声や動きもかなり年老いたお芝居をされていたのは新鮮だった。

ジョアンナとアンソニーの一目惚れ駆け落ちカップルはミュージカルあるあるの浮かれっぷりで可愛いかった。
15年間、ターピンの機嫌を窺いながら孤独に生きてきたジョアンナにとっての希望。
最後はトッドから逃げ切りアンソニーの元へたどり着けたようで良かった。
娘が生きていると知ったトッドだったが、水兵の扮装をしたジョアンナを娘と気付くことができず、ジョアンナ自身も実父と再会できなかった虚しさは残る。
父が殺人鬼だと知らずにいられたことはむしろ幸せなのか。

サイコスリラーらしい、視覚的というよりは内面的な狂気にゾクリとする作品。
ミュージカルとしては楽曲がめっちゃ難しそう。
アフタートークでも仰っていたけれど、伴奏にない音や、異なるメロディーでのデュエットなど…見ごたえはあったけれど耳に残りづらい気も。
アンサンブルさん入ってのメインテーマ?はかっこよくて良かった。


▼アフタートーク
チケット取った後にアフトが決まりましたが、ちょうどこのメンバー目当てでこの回を選んだのでアフトでも3人が見れてラッキー。
・上原さんは実年齢より40歳くらい上の役なのでメイクが大変。
 糸川さん「楽屋が一緒だけどいつ見てもメイクしてる」
・数日前にアンソニーの服にジョアンナの髪が絡まって取れなくなるハプニング
 体勢が辛くないように抱き寄せたのでその回だけチャラいアンソニー
・今日の公演でトバイアスの衣装が壊れるハプニング、サスペンダーが切れた?
・糸川さん「読み合わせのときにトバイアスの曲で泣きそうになった」
・上原さん「読み合わせに居なかったんだよね、たぶんここ(で本番中だった)」
 イザボーかな、役の雰囲気も偶然にも少し重なる感じ