朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

bpm シーサイド・スーサイド2024

bpm本公演「シーサイド・スーサイド」
6/2夜公演行ってきました。
千秋楽おめでとうございました!

DVDでは観たことがあったけれど生シースーは初めて。
久しぶりのbpm本公演で、bpmらしい笑って泣ける作品で楽しかった。

bpm-home.jp


ネタバレ感想





主人公は芸人のコンビ。
がんで余命僅かと知り自殺を図ろうとしている北野と、自殺を止めたい相方の西川。
そこへ自殺を唆す悪魔と、悪魔の思惑を阻止したい天使と、北野の願いによって悪魔が召喚した太宰治も加わってのワンシチュエーションコメディ。

ギャル?ホスト?と言いたくなるような天使らしからぬ天使と、白い服で品よく振舞う悪魔のギャップ。
直ぐに海に身投げしちゃう太宰治の自虐ネタ。
キャラクターは個性的でファンタジーっぽくて、自殺なんて重いテーマを扱っているのに重苦しくならない。
でも、自殺や生きることに対して根性論的に「生きる=正しい」と説くのではなく、小説の一節や偉人の名言を引用したりしながら、生きる意味を考えさせる文化的なところが最高。
言葉の力、エンタメの力が心に刺さるような作品。
病死でも自殺でも死ぬ運命は変えられないけれど、最後まで生きて漫才をする北野の姿にパワーをもらえる。
漫才のネタは舞台冒頭と終盤と同じなのに、言葉の意味が違って聴こえてくる浅沼さんの脚本の妙。
最初に笑えたものが泣けてくる、温かい物語でした。

ハイセン@ケント・フリックさんの色々な音の再現が素晴らしくて、生で観られて本当に良かった。
ハイセンの「音に合った映像(幻)を見せることができる」という能力は、音に合わせてそのまま映像を演出に入れることもできるけれど、あえて音と照明と幻を目の当たりにしている役者さんのお芝居だけで、映像は見せないところが良い!
映画ネタは版権的に映像が難しいというのもあるだろうけれど、舞台という限られた空間の中で、役者さんのお芝居一つで無いモノがあるように見えたり、色々な場所に見えてきたり、お芝居と想像力でいくらでも世界が広がるところが舞台の魅力だと思っているので、お客さんの想像力に任せてくれる演出が嬉しい。
作品によって映像が効果的なこともあるけれど、最近観た舞台で映像での説明が多いなと思うことがあったので、シースーの想像力をかき立てられる演出がめちゃくちゃ楽しかった。