朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

SOLO Performance ENGEKI「HAPPY WEDDING」

SOLO Performance ENGEKI「HAPPY WEDDING」
2/25夜公演行ってきました。

梅津さんの一人芝居企画、第二弾。
梅津さんのお芝居自体も、芝居に対するスタンスというか熱量もとても好きなので今回も楽しみにしていました。

明日は配信もあるようで。
これはぜひネタバレしないで見てほしいのでこれからの方はご注意。

solo-engeki.com



ネタバレ感想




今作の舞台は結婚披露宴、主人公は新郎・遠藤春彦。
前回の「HAPPY END」は、一人の男の一生を、様々な役を演じつつ主人公視点で進んで行くのに対し、今作は披露宴の招待客たちが新郎新婦について語る、客観的な物語。

作風としては私は今作の方が好み。
様々人物が語る内容から、新郎新婦の人となりを想像するのも楽しかったし。
何より、登場人物が多く、梅津さんのキャラの濃い演じ分けを堪能できる。
一人で演じる上でわかりやすくするという意味もあるのだろうけど、それにしても濃い笑

今回客席通路も使った演出があったことが嬉しかった。
客席でセリフを発する演出観たのは久しぶりでそこにも感動。
近くのドアから白タキ姿の梅津さんが登場したときは一瞬思考が飛んだ。


初っ端で登場する春彦は、自分の披露宴にも関わらず笑顔も見せず、席で体育座りを始める「変人」っぷり。
クライマックスへの言及となるけれど、ここで変人だと思わされたことが悔しい。

春彦のバイト先の店長、バンド仲間、弟。
新婦・未知の元旦那、仕事仲間、叔父。
それぞれの目線で語られる新郎新婦の姿は微妙に違っていて、でもつなぎ合わせると一人の人間が見えてくる。
そして後半のどんでん返しが、新婦・未知の死。
久しぶりに舞台を見ていて、やられた!と思った。
一人芝居だから姿が見えないことが当たり前だと思っていたけれど、本当に居なかったのか…と。
自分が認識していたものが間違っていたという展開が悔しいけれど気持ち良くて、また心を掴まれる。
新婦は居ないものとして改めて最初から物語を見直したくなる。

そして未知が既に死んでいるということを前提に考えると、これまでの招待客が語った言葉が、未知への手向け、そして春彦のこれからに対するもので、奇妙だと思っていたものが切なく見えてくる。
そして最後に春彦が自らと、未知について語り始めるのだけれど、未知について話す彼の可愛いこと!
年齢設定が未知が35歳、春彦が27歳というのにも、未知の包容力というか春彦の若さというか…二人の関係性が年齢からも納得。
優しくて、「普通」の自分にも向き合ってくれる未知と出会って春彦は救われたんだなと、表情からも声色からも伝わってくる。
未知からのサプライズで贈られた「普通に戻る」きっかけによって、春彦これからが幸せであるよう、列席者の一人として願ってしまうような没入感のある作品でした。