朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

ウィキッド2024

劇団四季ウィキッド」に行ってきました!

2024年の観劇はじめ。
ずっと気になっていて上演された暁には絶対行きたいと思っていた作品。
東京公演は10年ぶりとのことで、どうりでなかなか観られなかったわけだ。
期待を裏切らない素晴らしい作品、良い観劇のスタートが切れました。

www.shiki.jp




オズの魔法使いの「西の悪い魔女」と「善い魔女」の物語。
前日譚だけかと思っていたら、本編と並行して描かれる部分もあり、オズの魔法使いの別視点の物語になっている。

エルファバとグリンダの二人の美しい友情。
意見が対立したり、同じ人を好きになったり、何度も喧嘩をしながらもそれでもお互いが自分を変えてくれた大切な友達であり、理解者であることを再認識する。
頬をはたき合って、杖を振り回して…怒っていたつもりが何だか笑えてきちゃったり、怒りも悲しみも愛情も真っすぐにぶつけ合う二人の姿が愛しい。
二人の感情は矛盾しているように思えるけれど、理屈ではなく感覚的に女子の友情ってこういうところあるよなと共感できる。
クライマックスの「♪あなたを忘れない」は、辛いこともあったけれど過去を肯定できるくらい二人とも大人になったんだなと感慨深かった。
立場も役目も、学生時代とは色々と変わってしまったけれど、友情だけは変わらない美しさに泣けてくる。
大人になって学生時代からの友達のありがたさを年々実感していることもあり、二人の関係がとても刺さった。


▼細々した感想

序盤は大学時代の話。
緑の肌であることで疎まれていながらも頭が良く真面目なエルファバと、可愛らしく愛されていながらも少し頭が弱いグリンダは大学で出会い、ルームメイトとなる。
育ちも性格も正反対で最初はお互いに嫌っていたが、ダンスパーティーをきっかけに友情が芽生える。

グリンダが魔法を学ぶ機会を得られるようエルファバが取り計らったのは、グリンダから帽子を贈られダンスパーティーに誘われたことが嬉しかったのだろうけど、グリンダは悪戯心(というかほぼいじめですが)
けれどグリンダも皆に笑いものにされているエルファバを見捨てず、グリンダの取り計らいに報いるところが憎めない。
グリンダは能天気で脊髄反射で行動するところで問題を起こしたりするけれど、悪意はないところに好感は持てる。
素直に他人を想う気持ち半分、自分が“善く”あるための意地(プライド)半分といった印象。

魔法の才能を見出されたエルファバは国王・オズの魔法使いに呼ばれ、グリンダと共にエメラルドシティに行く。
エルファバは王との謁見で動物たちが言葉を奪われ支配されていることを訴えるが、国王こそがその首謀者であることを知り、国王の誘いを断って逃亡したことで「悪い魔女」というレッテルを貼られてしまう。
一方、グリンダは国王のもとで「善い魔女」として祭り上げられる。

グリンダはエルファバの手を取ることなく、国王側に付くことを選ぶ。
エルファバのように強い魔力と知恵を持っている者であればまだしも、グリンダのような普通の人、ましてや周囲からの評価を気にするタイプであれば国を敵に回すことができないのは正常な判断のような気がして納得。
一方で、エルファバの自由と正義への信念は眩しくて憧れる。
感情移入するのはエルファバだけれど、目線としてはグリンダの方が近い感覚。
一幕ラストの「♪自由を求めて」は圧巻!!
これが聴きたくて観にきたといっても過言ではないので大満足。
衣装が素晴らしく、エメラルドシティの人々の衣装が特に好みだった!
一つ一つ細かく見たい。


後半は、オズの魔法使いと並行世界。
悪い魔女としてエルファバがドロシーに倒されるまでの裏側。
フィエロの気持ちがエルファバに向いていることに嫉妬したり、国王らに騙されたりグリンダの考えなしの行動でエルファバは窮地に追い込まれる。
エルファバは国をグリンダに託し、自らは「悪い魔女」として姿を消すことを決意し、ドロシーに倒されたフリをしてカカシに姿を変えたフィエロと去って行く。

原作とは細かな設定は違ったり、辻褄が合わない部分もありつつ、ドロシーの家が吹き飛ばされてエルファバの妹・ネッサが亡くなるのは国王側の陰謀だったり、ブリキやカカシは彼らの命を救うためにエルファバが魔法をかけた姿だったりと、原作の善悪を覆すような設定は恐ろしくて面白い。
最後までグリンダの頭の弱さが徒となってがエルファバが追い込まれてしまうことは残念に思いつつ、最後は悪役として身を引くエルファバはかっこいい。