朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

イザボー

ミュージカル「イザボー」行ってきました。

今年はミュージカル続きの滑り出し。
末満さん作・演出の歴史モノで、日比谷界隈のキャスト陣ということで楽しみにしていました。

isabeau.westage.jp

 

ネタバレ感想


初めてのBrillia HALL。
色々な噂を聞いていましたが、2階センターブロックはそれほど悪くなかったかな。
完全に千鳥にはなっていないので、若干前列の人の頭がかぶるところもありつつ、他の劇場でもそういうところあるし…くらいの感覚。


物語はイザボーとフランス王・シャルル六世の息子であるシャルル七世の即位から。
母・イザボーを最悪の王妃と語るシャルル七世に対し、ヨランドは本当の彼女を知らなければならないと語り、二人はイザボーの過去を追う旅を始める。

イザボーはフランス王・シャルル六世に見初められてバイエルンから嫁ぎ寵愛を受けて過ごすも、ある時シャルル六世は予言者の言葉に気を狂わせてしまう。
正気と狂気の狭間で失脚していく夫の王座を守るため、国のため、そして少女の頃の自分が囁く“自分の幸せ”のため、シャルル六世に代わり政治の表舞台に出ることを決意する。
女は子を産む道具、政治をするものではないと言われ続けた彼女が自立し、地味な黒いドレスから赤いドレス姿に変貌。
だが味方を得るために数多の男と関係を持ち、娘には政略結婚をさせ、自らは贅を尽くして国庫を枯渇させる彼女は次第に人々から見放されてゆく。
そしてシャルル六世は死去し、ジャンヌダルクの助けを得たシャルル七世がフランス王として戴冠、イザボーは表舞台から姿を消す。


望海さんのイザボーがとにかく強く美しい!!
赤いドレス姿で歌い上げる姿は圧倒される。
シャルル六世の上原さんも言わずもがな、歌声が大好きなので最高の組み合わせ。
狂気に怯えながらもイザボーへの愛を感じる優しき王、上原さんの気弱な役は珍しいので新鮮。
シャルル六世の弟のオルレアン公の上川さんはプレイボーイなお芝居が似合う。
華やかな一族が眩しく、狂う前の六世との回想が微笑ましい。

物語としては、狂った夫に代わりイザボーが政治を取り仕切ることとなる部分は転換点だけれど、史実ベースということもありその後はイザボーの人生を坦々と追いかけている感じ。
なぜ彼女が最悪の王妃と呼ばれたかは作中では明確には語られず、彼女には彼女なりに正義や守るべきもののために行動した結果というところ。
イザボーに限らずだけれど、ミュージカルで見る王女・王妃たちの、他人から押し付けられる役割に抗い、自らの幸せは自分で決めるという強い意志は気高い。
それでも時代の流れ、権力争い、色々なものに翻弄されて、彼女自身も最初に追い求めていたものと付いてきた結果は想像とは違うものだったんじゃないかなと思う。
現代とは身分に対する感覚が違うので、現代感覚で見てはいけないけれど。。

脚本・演出は随所に末満さんらしさを感じる。
セットは城壁のような円形の壁や階段が回転する。
末満さんの大きいセットの組み方・動かし方は舞台が華やかで、場転もスムーズで集中して観ていられるので好み。
他作品の話になりますが、主人公が回想の世界に現れるのは、この前の単独行を彷彿とさせたり、狂気に堕ちることを恐れて「自分を殺せ」と叫ぶシャルル六世と、彼からの愛情ゆえに殺すことができず、自らも獣になると高らかに笑うイザボーは、綺伝を思い出したり、末満さん脚本の好みの部分が凝縮されていた。