朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

舞台刀剣乱舞 灯②

「科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』
綺伝 いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶」、2回目観てきました。
奇跡的に大千秋楽のチケットが当たり、最後を劇場で見届けることができました。

大千秋楽おめでとうございました。
本当に本当に、お疲れ様でした。
計り知れない努力と苦労と配慮の上に成り立った舞台だと思います。
全公演無事に完走してくださり、ありがとうございました。

物語の舞台は慶長熊本。
いつもの刀ステ本丸ではなく、「別の本丸」の特命調査の報告を語るという内容。

先行調査員として潜入した古今と地蔵は熊本城に乗り込み、ガラシャと出会う。
ハッとガラシャの手を取って逃げてしまう地蔵。
そこへ歌仙率いる「第三部隊」が到着し、調査を開始する。
刀剣男士、キリシタン大名細川忠興各々ガラシャを探し奔走する。
ガラシャは、キリシタン大名や信徒を守りたいと「神の国」を作ったと思っていたが
心の底では忠興の気持ちを確かめたい、最終的には自分が忠興を憎んでいるという罪を
忠興に殺されることで許されたいという気持ちに気づく。
しかし忠興は高山右近に殺され、ガラシャの望みは叶わなくなってしまう。
後半はガラシャと忠興の出会い、エピソードの回想。
そして「神姿(かみすがた)」となったキリシタン大名ガラシャとの決戦。

ストーリーを整理しながら、やっぱり改変世界の核はガラシャなので
ガラシャの感情とともに物語が動いていくイメージ。
今回、すごくスマートに物語が進んだなという印象で、どうしてかと思ったら
登場人物がみんな冷静で、あまり諍いとかが起こらなかったんだよね。
もちろんそれぞれの目的があって戦闘もあるけど、話し合いの余地もあるし、
刀剣男士同士が仲良くてホッとする。

忠興とガラシャ、お互いが憎くて憎くてでも愛おしい。
何度見ても二人の邂逅のシーンは苦しくて、美しくて、大好き。
戦国の世だからこその立場やすれ違いで、憎しみも募るけれど、やはり愛した気持ちは
変えられない。
ガラシャの、憎んだ罪を贖うために殺してほしいという気持ちと、
忠興の、愛した相手を斬れないという気持ち。
刀を振り下ろせない忠興の人間らしさというか、鬼と呼ばれながらも気持ちに
勝てないところがたまらない。
ガラシャがずっと自分を「蛇」と皮肉のように言い続けたのも、鬼の隣には自分が
ふさわしいと、忠興の隣に居たいということなんだろうな。

二人の回想シーンを見守る歌仙が好き。
口をはさんだり、出過ぎた真似をと下がったり。
子守歌を歌うガラシャに合わせて、手でトントンとリズムをとっていたのが可愛かった。
そんな風に二人を慈しむように見守っていた歌仙が、元主・忠興が愛したガラシャ
斬らねばならないのが切ない。
刀を交える前にガラシャと歌仙が目を合わせるの綺麗だったなぁ。
忠興が愛した人と刀…切なくて悲しくて美しい。
鬼としてガラシャを斬った歌仙が最後に着物で血を拭ったのも忠興を真似て。

回想シーンだったか、歌仙が「これは僕の記憶ではなく、寄せられた想い」という
ようなことを言っていた?
記憶と、込められた気持ちと、刀剣男士を形成する要素はどういう割合なんだろう。
過去作で「すべてを覚えているわけではない」というようなことも言っていたから
刀自身にも記憶というものはあるっぽいけど。
実際に刀としてその場に無くても、主が経験したことは記憶のように持っているという
ことなんだろうか。

そして今作でも度々出てきた「刀の本能」。
刀の本能は歴史を守ること…ではガラシャの手をとった地蔵は?というところで。
地蔵に寄せられた想いが地蔵を動かしているという感じだっただろうか。
反面、長義が大友宗麟と会う場面で「自分は人ではない」とすっぱり言い切ってたのが
長義らしい。

千秋楽なのでキャストさんからのご挨拶が。
円盤に入ると思うので印象に残ったところだけ。
大友役の三浦さんだったか、「キャストの皆のことが好きなのに握手もしてない」という
ようなことを仰っていて、本当に徹底していて、でもそれはしんどいことだよなと…
改めてキャストさんが話されるのを聞いて思った。
舞台のバクステとか見てると、開演前とか握手したり背中バシバシしたりして、魂を預け
合ってるのを見てきたから、そういうこともできないのも辛いだろうし。
長義役梅津さんの挨拶かっこよかった。
「見てるか、これが演劇の力だ!」って本当にみんなが声を大にして言いたいことを
言ってくださった感じがして、力強くて、本当に梅津さんの言葉選び大好きなんだよな。
あとは、なんといっても座長の和田さん。
あんまり感極まっている姿印象になかったので、やっぱりこの舞台を背負うというのは
大変だったんだろうなと、ファンサイトのブログも読んで思った。
あと「灯」というタイトル通り、「灯を絶やさぬよう」というお話。
私も今作のタイトル好きです、舞台刀剣乱舞・舞台というコンテンツの希望の灯。
「灯」がタイトルにつくことで、科白劇として内容を変えてでも公演を行った意味や
スタッフ・キャストさんの気持ちが伝わってきます。

そして最後に次回作の発表が。
次回は通常通りの公演ができることを祈りつつ。
いつか「綺伝」が上演されることを待っています!!