朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

ID

「TXT vol.2『ID』」観に行ってきました。

最近特撮を見るようになり、高橋さんと東映コラボ企画というところで興味が湧き。
かつ、キャストさんも気になる方々だったので。

 
面白かった。
物語も、役者さんのお芝居も良かった。
一人二役で雰囲気がガラリと変わるのもすごいし、感情を前面に出すお芝居もパワフルで心に響く。
物語は二転三転と、真実が明かされ設定が覆っていくような感じで。
軽めの導入から、どんどんダークで人間の本質を問いかけるような流れになっていくのがとても好みで楽しかった。

導入は「委員会」と呼ばれる組織が1つの感情しか持たないアバター8体を仮想世界に作るところから。
人間のアイデンティティとは感情ではないか、ならは人間の感情をバラバラにして対峙させたらどうなるのか、という実験。
喜び@崎山さん、怒り@松田さんは日替わりコーナーかな。
一つのものについて語り合うということで今日のお題は「三角定規」。
物ボケに、『タッチ』パロディのミニコントに、毎日やるの大変そうなコーナー(笑)
悲しみを慰めつつ、期待・信頼も温厚な性格で和気あいあいとした雰囲気が可愛い。

しかし、8人は実は記憶を消された死刑囚、アバターではなく現実世界の人間だということが発覚する。
アバターだと思っていたときには何とも思わなかったのに、自分が人間だとわかった瞬間に気持ち悪い」というようなセリフ、なんと言うか、自覚した瞬間に状況が変わって見えることとかあるよなと共感。

人間として自由な生活を求めた8人は施設を脱出。
しかし、身分を証明するものもない状態ではまともに生活することもできず、次々に委員会に連れ戻され、委員会に攻撃を仕掛けようとした嫌悪と怒りも、委員会の存在を告発しようとした恐れと驚きも追手に捕らわれてしまう。
松田さんの怒りのお芝居が熱くて、最高。
怒りとして当たりが強いんだけど、仲間のことを想い、自由を求める「心」は感情とはまた別物なんだなと思わせてくれる「怒り」で。
怒りって感情の中でもパワーすごく使うし、それで仲間や委員会に全力でぶつかって、ボロボロに崩れていく姿が痛々しくて愛しい。
松田さんの熱量に対して、対峙する嫌悪@鈴木さんのパワーが少し物足りなく感じてしまった。
それぞれの、隣合う色との繋がり・対局の色の食い違い、足りないものを埋めようとする仲間意識が美しい。

一方委員会では、死刑囚たちの脱出に広報委員が加担しているという疑惑や、学級委員が知性より感情を優先する考え方を持ち生徒会長と対立するなど、組織の瓦解が始まる。
生徒会長@崎山さんのお芝居がまた良かった。
委員会の中心にいる生徒会長としての存在感もあって。
何より、学級委員@松田さんとのクライマックスのやり取り!
知性こそ大切だという理性と、学級委員から受ける感情と、怒り(アンジー)が乗り移っているのではという疑心で学級委員を撃ち、それを後悔し懺悔する、短い時間で色々な感情に振り回される姿がたまらない。

そして最後は「委員会は教授が作った人工知能」だということが明かされる。
人工知能のメモリーを消しながら、人工知能に感情をラーニングさせながら、犯罪を起こさない美しい人間を作るための実験を繰り返しているという。
現実世界に存在できているので、人工知能を搭載したロボットというところかな。
アバターを作り出していたと思っていた側が実はアバターだったという、ベタだけど大好きなダーク設定。
人工知能が感情を持つのか、ゼロワンにも繋がるところがあるような高橋さんらしい脚本で面白かった。