朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

千と千尋の神隠し

舞台「千と千尋の神隠し」行ってきました。

こちらもかなりのビッグタイトルの舞台化に発表時は驚きました。
帝劇でストレートプレイの作品観たのは初めてかも。


ダブルキャスト
千尋上白石萌音さん
ハク:三浦宏規さん
カオナシ:菅原小春さん
リン:妃海風さん
釜爺:田口トモロヲさん
湯婆婆:朴璐美さん

映画の印象も強く、ミュージカルではない東宝作品ということでどうなるか。
スタッフ&キャスト陣には期待値高めだけど、自分の中でうまく消化できるか不安でハードルは低め設定してましたが、ハードルを大きく超える素晴らしい舞台でした。

ミュージカルではないということでオーケストラピットも無く、録音BGMなのかなと思っていましたが、開演前にチューニングの音が聴こえてきて生オケだということがわかり喜び。
楽曲は多少アレンジが入ったりしているけど、ほとんど映画のままかな?
大好きな久石譲氏の曲を生オケで聴けたことが嬉しい。
何曲か歌詞がついていた曲もあるけれど、ミュージカルというわけではなくボーカル入りBGM的な感じ。

物語も映画そのままかなという印象。
ストレートプレイで休憩込み3時間なので、映画と同じくらいの尺。

OPから一家がトンネルに入るところまでは幕が下りた状態。
冒頭のランドセル姿を見て、そう言えば千尋って小学生だったなと思い出した。
上白石さんは実年齢千尋よりも全然上だけれど、生身の人間が演じる千尋はアニメの千尋以上に一生懸命に見えて感情移入してしまう。
他作品をでもそうなんだけど、アニメだと自分とは別世界というか、アニメのキャラならそのくらいできるだろう的な感覚になりがちなので、生身の人間が演じている方がより苦労や努力に感動できるのが舞台の好きなところだなぁ。

トンネルを抜けたところで幕が上がり、一気に舞台全体が見えて圧巻。
中央は盆の上に二階建てのセット、左右には細い通路と階段や梯子。
動線どれだけあるんだろうと思うほど大きく入り組んだセットがすごい。
明かりが灯り、神様たちが入ってくるところが美しい。
鮮やかな衣装と異形の姿にテンションが上がる。
映画のままの姿の神様もいれば、舞台用に少しアレンジ入ってる神様も。

湯屋の場面は走り回ったりするシーンが多いけど、衝立やキャラの間をグルグルしたりするところは少し間延び?するかなと個人的な印象。
舞台のスペースは限られてるから難しいけど、ちょっとこじんまりしてたなと感じた。
黒子がパペットを動かしたり、植物役の人がいたり、千尋やハクが飛ぶ(落下する)シーンで人力で持ち上げてたり、観客の想像力に任せてる部分が多かったのは面白い。
電車が遠くに見えるという表現でプラレール的な電車のミニチュアが走ってたのはちょっと笑っちゃったけど。
家族連れの人も多くていつもの帝劇と客層がちょっと違って、観劇デビューの人とかもいたのかなと想像。
お客さんの想像力も込みで舞台なんだと感じて、それを楽しんでくれる人が増えたら嬉しいなという舞台オタクの勝手な期待。

三浦さんのハクは身長高めで上白石さんとの身長差にときめく。
原作の二人の同じくらいのサイズ感で小さくて可愛い、という感じは薄めだけど、顔を寄せるときに屈んだりするのに別のときめきがある。
銭婆のところから帰ってくるところで二人がおでこを合わせるところと、降り立って手を繋ぎ直すところが一番のときめき、生で観ると可愛さ増し増し。
一幕の龍になるところのバレエのジャンプが美しくて、それ見れただけで一つ満足。

朴さんの湯婆婆&銭婆はカッコいい…!
湯婆婆は声だけのシーンも多かったり、千尋や坊やハクや相対する相手によって声色が変わったり、声優さんとしてのパワーと技術を感じるお芝居が素敵。
朴さんのお芝居で育ったアニオタなので、朴さんの生のお芝居観れるだけで楽しい。
それにしても大人になって改めてみると、名前を奪って支配するってすごく日本的だなぁ。

踊るカオナシは、怖さ?不気味さ?が原作の5割り増し。(褒めてる)
原作はぼんやりそこに居る感じや、真っ黒な姿に無表情な顔だけがある造形的な不気味さがあるけど、舞台は不思議な動きしながら知らぬ間に出てきて消えていくところに怖さがある感じ。
スッと奈落に消えて行ったり。寝っ転がりながら海をを泳いだり…。

不思議で美しい世界にどっぷり、思った以上に没入できる舞台でした。
楽しかった。