朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

綺伝①

「舞台『刀剣乱舞』綺伝いくさ世の徒花」観に行ってきました。

2年越しの上演、本当におめでとうございます。
待ちに待った「綺伝」を初日に観に行くことができて感無量。
このご時世、無事に幕が開いたことがまず喜ばしいです。

まだ初日なので、ネタバレ感想は後日追記します。

=4/3追記=
配信もありましたので感想追記しました。ネタバレ注意です。


物語は基本的に科白劇と同じ流れ。
地蔵とガラシャの逃避行、第三部隊の出陣、忠興とガラシャの再会と別れ、神姿となる歴史上の人物たち、そしてガラシャと対峙する歌仙。
細かな差異もあるので改めて科白劇と見比べてみたくなる。

大きな違いは天正遣欧少年使節の登場と、黒田孝高の話か。
少年使節については、歴史上の人物追加ということで科白劇と見た目的には大きな差異にはなるけれど、物語にはさほど影響を与えた感じはなく。
元々当初の「綺伝」から登場する予定だったんだろうとは思いつつ、科白劇で話がまとまっているのを見ていると若干登場に疑問。
ただ、黒田孝高の話にも繋がるけれど、刀ステシリーズは歴史上の人物が別の物語に影響したりするので、そのあたりも含めての設定なんだろうかと想像してしまう。
キャストさん的にも、殺陣が上手いメンバーなので今後の作品でも登場するのかな、とか。
少年使節の見せ場というか大きな役割は大友宗麟との対立、そして宗麟の殺害か。
大友宗麟が他者を傷つけないというキリスト教の信仰に従って刀剣男士との戦闘を避けようとしたのに対し、少年使節キリスト教を信仰できる世界を守るためなら宗麟さえも手にかけるところが印象的。
少年使節や他のキリシタン大名が放棄された世界・キリスト教を信仰できる世界を守ろうとしているのに対し、大友宗麟だけは信仰に従い続けようとし、最期は人々の安寧を願いながら死んでゆく姿が美しく切ない。
相対する刀剣男士たちが、宗麟の心に寄り添う言葉をかけるところも大好き。

黒田孝高の話は、本当は天伝・无伝の前にこれが上演される予定だったんだよな、ちゃんとその順番通りに観たかったというのが第一声。
どこまで予定通りで、どこからが順番が入れ替わったことを受けて変更したのか、今となってはわからないけれど、刀ステシリーズの大きな物語がまた一歩動きましたね。
綺伝の黒田孝高は、維伝に出てきた「物語をおくれ」の山姥切国広と同一人物。
科白劇の黒田孝高の「別時間軸の黒田孝高(官兵衛・如水)の記憶も持っている」というセリフは綺伝では無くなっていたので、科白劇に登場する「他の本丸の刀剣男士」が出会ったのは本物の黒田孝高で、綺伝の「刀ステ本丸」だけが偽物と出会ってるということか。
山姥切国広が黒田孝高に化けていたと認識しているけれど、長義が「偽物くんの偽物」といっているあたり、山姥切の姿も本当の姿ではないというとかな。
偽物と見破った長義との一騎打ちで偽物山姥切は消滅…正体は知れず。(朧と言っていたか?)
そして无伝で出てきた姿の黒田孝高、阿形吽形や維伝の歴史上の人物、黒甲冑の登場。
今作で明かされた黒田孝高の目的は、強い物語をもって史実と物語の境界を無くすこと、円環から三日月を救うこと、そして織田信長を救うこと。
織田信長、度々いろいろな物語で名前は登場するけれど…最終的に虚伝・織田信長の物語に繋がっていくような感じも。
最終的に初演の物語に帰結していくとか熱い展開で好きですが、どうなるのか。
今回の物語にも「本能寺の変は秀吉や家康だけではなく、忠興やガラシャの運命も変えてしまった」というようなセリフが入っているし、信長や本能寺の変は色々なところで歴史上の人物たちと繋がっているんだなと思ったり。
だけど、なぜ三日月を救いたいのか(そもそもなんで三日月が円環にいることを知っているのか)、謎も多く残したまま、阿形吽形らを引き連れ姿を消す黒田孝高

綺伝本編の感想からかなりずれましたが本編感想。
OPの殺陣&ダンスが刀ではなく扇子だったのにまず驚き。
歌仙が部隊長の第三部隊らしさ全開で最高。
ガラシャ@七海さんもさすがの美しさ、確か宝塚って日舞の授業もあったかと。
刀を納めて「はじめよう」ではなく、皆が花びらをふわっと投げて「はじめよう」なところまで美しさ&「花」がキーワードの今作らしさ。
今作は花道の使用があり、舞台上とはいえ、久しぶりに客席の中に刀剣男士が居ることに感動してしまった。

入電を受けて熊本城を目指す歌仙一行。
会話の内容も、「歌の入電」の話で基本的に科白劇と同じだけれど、歌仙が篭手切の言う歌が自分の言う歌とは別物であることを知っていたり、科白劇の本丸よりお互いのことを知っていそうというか、仲良さそうな雰囲気を感じて微笑ましい。
「世の中に絶えて桜のなかりせば~」の歌について各々がさらさらと出典や現代語訳を述べていくところがとても好き。
数百年を生きる刀剣男士にとって歌の教養はデフォなのか、第三部隊の特性なのか。
今回の上演時期が桜の時期なもの良いですね、初日のあたりはまだ咲いていなかったと思うけれど、感想を書いている東京楽日はちょうど満開から散り始めるあたり。

城下での二人組での調査は、なんといってもソーシャルディスタンスではない普通の演出で見られるのが嬉しい。
中合わせの長義と亀甲がかっこよかったり、向かい合わせでご飯を食べる獅子王と篭手切が可愛かったり…歌仙と青江は歩きまわってるから科白劇とそんなに距離感変わらないな笑
長義の「右の頬を打たれたら…」がバージョンアップしてて笑った。
二度の右頬打ちからの、左を差し出した瞬間に間髪入れずに打つパワフル長義大好き。
「いーすー」のシーン(※綺伝では椅子は転がってきません)では、テーブルがあるので美しく組まれた二人の足を見ることができなくなってしまったことだけが残念。

ガラシャと忠興の再会は何度見ても感情をうまく言葉にできない。
愛しくて憎い、殺したいほど憎いのか、自分で手にかけたいほど愛しいのか。
正史の中でどれだけこの感情を二人が持っていたのか、この物語のガラシャキリシタンの国を作ったことで細川のお家取り潰しとなったことがより愛憎を深めてしまったのか…。
歌仙がガラシャを斬ることを苦しく思うあたり、やっぱり愛情の方が大きかったのではと…愛していたけれど二人を取り巻く出来事(本能寺やキリスト教弾圧など)が二人の関係を狂わせてしまったのではと思うと切ない。

神姿のガラシャ様は相変わらず美しい。
他のキリシタン大名の武器が剣や大型の武器な中、黒田孝高だけ?が刀を持っているのも気になる。
柄も鞘も白くなった刀が美しいなと思う反面、黒田孝高が持つ刀はどの刀をイメージしているんだろうと思ったり。

青江と篭手切が歌仙を心配している裏で、古今を連れ出す長義。
政府の監査官だったということは本丸の皆にバレていないと話す長義に(!!??)となってしまった。
え、バレてないが普通なの?この長義が可愛いだけなの?
一瞬で色々困惑してしまったけど「バレてはいない(ドヤ)」な長義に、笑うべきシーンなのかわからないけど笑ってしまった。
客席全体的に、爆笑という感じではなく、長義が可愛いという気持ちのこもった「ふふっ」という笑いに包まれて審神者たちの気持ちが通じ合ってるのを感じた笑

最終決戦。
暗がり通路では相変わらずみんな自分がはぐれたとは思ってない様子が微笑ましい。
長義は「遅れてすまない!!」と合流するのでちょっと自分が迷子の自覚ありそうな感じが可愛い。
今作では古今伝授の太刀と地蔵行平以外は真剣必殺あり。
相変わらず力強い歌仙の殺陣が大好きだけれど、戦いが進むにつれて、ガラシャとの決戦前でも歌仙が苦しげで、殺陣の掛け声も「ハッ」とかではなく「うわ」「あ゛ぁ」と乱れた感じになっていくのが見ていて辛い。
反面、彼女が自分を「鬼」と呼んだから自分が斬らねばと決意を述べる歌仙がかっこいい。
綺伝全編を通して、歌仙を愛しいとか可愛いとか思う以上にかっこいいと惚れ直す瞬間が多くて、ホント全歌仙ファンに観てほしい。

ガラシャの最期のシーンは科白劇と変わって、ガラシャを迎えに来るように白装束の忠興が登場するのに感動。
自分がガラシャを斬ってあげられなかったこと、代わりに愛刀が斬ってくれたこと、歌仙兼定は自慢の刀であることを二人で話すところが。
ここまで歌仙が行動したことが報われて、ガラシャと忠興の心も救われるようで、良かった。

ラストは本丸に帰って、古今からのお迎え要請の入電。
出陣かと思いきや歌仙は暇をもらっていると…一瞬、出陣できないほど心にダメージを負ってしまったか!?と思ったらまさかの修行の旅へ…!
しかも帰ってきて、極め姿まで披露で本当に嬉しかった。
極め姿の歌仙の胸の花、おそらく明智家の家紋の桔梗だし、今回のガラシャの物語も経ての極めの流れがとても良かった。


個人的に残念だったことは、座席が1階後方だったのですが、ちょうど前の人の頭で舞台センターがほとんど見えなかったことが辛かった。
特に歌仙主演でセンターにいることが多かったからなおさら。
こればかりは運なので仕方ないですが。。