朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

ノートルダムの鐘

劇団四季のミュージカル『ノートルダムの鐘』行ってきました。

ロングラン逃しがちなので今回はちゃんと発売日にチケットを取った自分を褒めたい。




原作も、ディズニー映画版も見ていないので完全初見。
原作はユゴーなんですね。
キリスト教の教えが物語のベースになるあたりとか、ラストのエスメラルダが静かに天に召されるあたりとか、レミゼと同じ空気感を感じる。


物語は、敬虔なキリスト教の信者であったフロローが、遊び人の弟が死に際に託してきた子供・カジモドを引き取るところから。
醜い姿のカジモドは大聖堂の鐘突きとして人目を忍んで暮らすよう言われてきたが、言い付けを破り祭りの日に町に降りたことでジプシーのエスメラルダと出会う。
醜く周りの人間から酷い仕打ちを受けたカジモドに唯一優しく接してくれた人。
美しく賢く、芯が強くそれゆえに孤独で、戦場帰りのフィーバスや俗世を捨てたフロローさえも魅了する人。
三者三様にエスメラルダを想い、結果、エスメラルダからの拒絶に激怒したフロローはジプシーらを捕縛し処刑しようとし、エスメラルダとカジモドはこの一件で命を落とす。

「昔語り」のスタイルで、現代の男が背中に袋を背負い顔を汚してカジモドに変わって物語が始まり、またラストで「…という出来事があった」と袋をおろして普通の男に戻り、時間軸が現代に戻る構成が面白く、過去と現代の入れ替わりが滑らかで面白い。
時間軸が過去に戻った瞬間、大聖堂の鐘が下りてくるのは圧巻で鳥肌…!
オペラ座のシャンデリアとか、四季の作り込まれた大きなセットは見ごたえがあって、一気に舞台上に物語の世界が作られて引き込まれる。

物語の主題としては、見た目の美醜とは、人間とはというところと。
何度も人に裏切られ、それでも愛する者を想って行動するカジモドの勇気なんだろうけど。
なんというか、初見だったので、みんなエスメラルダ好きすぎ…という感じ。
エスメラルダの美しさ故に運命が狂ってゆく。
もちろんエスメラルダが全ての原因ではなく、キャラクターそれぞれ元々抱えている想いや疑問や苦しみがあるけれど、それがエスメラルダとの出会いというきっかけであふれ出ていく感じ。
大聖堂でひっそりと暮らすカジモドがエスメラルダを助けるために町に降り、それ故に奇跡御殿の流れ者たちは騒動に巻き込まれていき。
フィーバスは兵士としてのキャリアを捨てて流れ者となる決意をし、フロローは今まで封じ込めてきた人間の欲望に飲み込まれて最後は命を落とす。
信仰心や言い付けや命令ではどうすることもできない、人間の感情をありありと見せつけられる感じ。
人を救いたいという前向きな気持ちも、欲望も憎悪も全て含めて。

個人的に胸熱で感動したのは、流れ者たちも町の皆も協力してエスメラルダを救おうとするところ。
やっぱり私は民衆が協力し合うというイベントが好きみたいです。