朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

ミス・サイゴン2022

ミュージカル「ミス・サイゴン」行ってきました。
初日が延期になりどうなるか心配でしたが、数日遅れで開幕してくださいました。
千秋楽まで完走できますように。




キャスト
エンジニア:伊礼彼方さん
キム :昆 夏美さん
クリス:海宝直人さん
ジョン:上原理生さん
エレン: 知念里奈さん
トゥイ:西川大貴さん
ジジ :青山郁代さん

物語は言わずもがなの有名作ですがざっくり。
ベトナム戦時中、サイゴンのキャバレーで身を売っていたキムとアメリカ兵のクリスは出会い恋に落ちるが、二人はサイゴン陥落の混乱で離れ離れに。
3年後、キムはクリスとの子・タムを育てながらクリスの迎えを待っていたが、クリスはアメリカで結婚し妻・エレンと暮らしていた。
エレンの存在を知ったキムは、タムだけはアメリカ人として育ててほしいと二人に引き渡し自らは命を絶つ…。

キャストさんの組み合わせが多すぎて日程迷いましたが、伊礼さんエンジニアと昆さんキムお目当てで。

伊礼さんのエンジニアはご本人も「ギラギラで」と仰っていたとおり、若くて強かでセクシーなエンジニア。
人生まだまだこれから、何があっても生き延びてアメリカで一発当てるという気概が似合うし、体格が良いこともあってどん底にいても小物感がなくギラギラと機会を狙っている感が良い…!

昆さんのキムはさすが、場面によってのキムの演じ分けが素晴らしい。
キャバレーで右も左もわからないか弱い少女から、クリスに愛されて幸せと自信に満ちて「サン・アンド・ムーン」「世界が終わる夜のように」の伸び伸びとした歌声が美しい。
クリスと離れた後は母として気丈に振舞っているけれど、一人でエレンと初対面したときに幼い雰囲気に戻って、本来のキムの性格や抱えている不安が浮上してくるのが良い。
物語と全然関係ないけど昆さん小柄なので、クリス@海宝さんと並んだときの体格差にときめく。

登場人物みんなが戦争の被害者で誰が一人が悪かったわけではないのだけど、キム目線で追いかけている分、クリスの不誠実さはやはり消化不良。
キムと婚礼を行いながらも、アメリカに帰ったら勝手に新しい人生だとエレンと結婚し、キムとタムが生きていることを知るも最終的にはエレンを選んで、タムだけ引き取ってキムには金銭援助だけをして一人で生きていかせようとする。
何が悪かったのか…キャバレーで出会った女の子と軽々しく婚礼を行ったクリスか、客である男を簡単に信じてしまったキムか、二人を引き合わせてしまったエンジニアやジョンか…。
陥落で離れてしまった後に、キムを探す誠実さが欲しかったけれど、戦争後遺症はそれもできないほどひどい状態だったということか…エレンとクリスの出会いがどういう形だったのかが気になる。

でも婚礼のシーンは好き。
音楽も、キャバレーの女の子たちがキムが身請けされていくのをお祝いしてくれる空気感も優しくて美しくて。
夢を見ながら、身を売る現実の狭間にいる女の子たちが切なくて辛い。

物語は現代戦争ものだし救いがなくて好きとは言い難いけれど、このキャストさんと音楽と、ヘリやら車やらが出てくる大掛かりなセットは見応えがあって観て損はない。
サイゴン陥落のヘリのシーンは、バリケードの内外の視点の入れ替わりで混乱の様子の迫力や、セットと照明と音響と役者さんの目線でヘリが飛び立つ様子を体感できるのは圧巻でした。