朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

虚構の劇団 日本人のへそ

虚構の劇団 解散公演「日本人のへそ」行ってきました。

井上ひさしさん脚本の本作。
各所で上演されていてタイトルは聞いたことがあったけれど実際に見るのは初めて。
虚構の劇団さんも観に行ってみたいと思いつつ、最初で最後になってしまった。

 

kyokou.thirdstage.com




二転三転する劇中劇の設定がとても面白かった。
最初は、登場人物は全員吃音症患者で、治療として芝居(劇中劇)が始まり。
➡実は本当の吃音症患者はストーリーテラーの一人だけだった。
ストーリーテラーも吃音症ではなく、妻の浮気の証拠を掴むための芝居だった。
➡そこまで含めて全て治療のための芝居だったという最初の設定の戻る

劇中劇の物語はストリッパー・ヘレン天津の生涯。
田舎から集団就職で出てきた女の子が、キャバレーやソープランドやストリップ劇場やらを転々としながら、美しい女性となり議員先生の愛人に上り詰めていく。
下ネタちっくなコメディ、猥雑な世界観。
ストレートプレイだと思っていたので、ミュージカルかと思うくらい歌が多い(というかセリフより歌が多いくらい)のに驚いた。

劇評を見ると社会風刺も含んでと書かれていたりするけど、この時代に詳しくないのでそのあたりはなんとも。
田舎から出てきた女の子は、体を売って男性に依存しないと生きていけない。
ヘレンのセリフで「この立場を失ったら前の生活に逆戻り」とあるけれどそういうところが社会に対する批判だったりするのか。
倫理的なところが整備されきっていない時代は、リアルな社会で考えると…だけど、作品として見る分にはごちゃごちゃと賑やかでちょっとアングラ的な危ないところがあって面白い。

お目当てというか、この劇団を知ったきっかけが梅津さんだったので。
2.5とかでなく劇団公演に出演されてる姿が観られて楽しかった。
劇団公演ってなんとなく独特な雰囲気がある気がする…身内感?
脚本にもよるけど、プリンシパルとアンサンブルというより全員が一劇団員として平等な感じ。
特にこの作品は劇中劇もあり、一人何役も兼ねてるので、がっつりメインキャラではなくフラットに色々なお芝居を観れるのが良かった。