朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

刀ステ禺伝①

「舞台『刀剣乱舞』禺伝 矛盾源氏物語」2/5夜公演、行ってきました。

昨日は初日配信もありましたが、現地を初見にしたかったのでネタバレ見ずに観劇。

詳しい感想は後日アップしますが。
とにかく、刀ステ×源氏物語×女性キャストの、きっと今回しか堪能できないであろう華やかさを体感できて楽しかった…!

stage-toukenranbu.jp



=2/11=
ネタバレ感想追記。ご注意を。

 



 

ネタバレ感想。


今作はいつもの刀ステ本丸とは別の本丸の物語。
キャストも全員女性と、いつもの刀ステとはまた違った雰囲気ですが、刀ステの一作品として伏線的なものを感じる部分もあったり。
正直、まだこの本丸がどういった立ち位置にいるのか頭の整理がつかないので、書きながら色々考えたいところです。

以下、いつもの刀ステの本丸を「刀ステ本丸」、今作の本丸を「禺伝本丸」と書きます。

まずは作品の全体的な雰囲気としてはとても好み…!
オープニングは綺伝のように扇を使ったダンスで始まり。
そして、舞台中央にかかった幕が外れた瞬間、十二単を着た源氏物語の女たちと光源氏が勢ぞろいする華やかな舞台上にときめく。
アリーナから見上げる舞台が美しすぎて眩しい…!!
刀剣男士も同じく女性キャストなのが、より馴染みよく見えて全体なまとまりも。

▼ざっくりストーリーを追いながら。
舞台は源氏物語に浸食され、歴史上の人物たちが「役」を与えられ、源氏物語の登場人物だと思い込んで生活している世界。
遣わされた禺伝本丸の面々は、「弘徽殿の女御役」を与えられた紫式部の親友・小少将の君の協力を得て、行方知れずの紫式部を探し、源氏物語のストーリーを破綻させて元の史実を取り戻そうと行動を起こす。

いつもの歴史上の人物との緊張感のある立ち回りではなく、物語の中で謎解きをするように登場人物たちと接触していくのが面白い。
フィクションの中、物語を破綻させるという「改変する側」だからこその自由度が新鮮。
映像演出で「本編」と「行間」のターンが切り替わっていくのが、ジョ伝の「序」「如」を思い出す。

後半ではこの世界のギミックが明らかになっていく。
物語はフィクション(=嘘)であるから、作者である紫式部は罪で地獄に落ちてしまう。
源氏物語紫式部のファンの「男」はそれに耐えられず、光源氏を演じ、光源氏として死んで骨を埋めることで後世に光源氏は実在したと思わせようと計画していた。
前半で想定した世界自体が物語であり、実際に歴史上に存在しているのは「男」だけというのがこの世界の真実。
刀剣男士たちは、光源氏という設定に守られた「男」を殺す方法を模索する。

物語の二重構造の時点で頭フル回転 笑
小少将の君が言っていた、「この世界のどこかに紫式部がいる」「源氏物語を破綻させれば史実に戻る」という設定も全てが虚構。
史実では既に紫式部のは死していて、源氏物語の破綻ではなく「男」の作り出す物語を崩さなければ意味がないということになる…ということか。
でも、「小少将の君は弘徽殿の女御が似合う」「彰子様は六条が好き」という、「男」は知らないはずの設定も反映されているので、源氏物語に未練を残して亡くなった紫式部の想いもこの世界に含まれているっぽい。

最後は、源氏物語の女たちが光源氏に反乱を起こす…。
光君から本当の愛は獲られない憎しみと、光君への愛で殺すこともできず。
若紫が刀を取り、光源氏を殺そうとしたところで歌仙が止めに入り光源氏を殺すことで「男」の光源氏として死ぬという願いは叶い、時間遡行軍は骨を持って姿を消す。

報われない気持ち、醜い容姿、描かれない馴れ初め…登場人物たちが自我を持ち、物語上の存在だと自覚した上で、自分に与えられた設定に異を唱えるというメタ的な流れに、「刀剣乱舞」という“物語”を観ている身としては、彼らが自身をフィクションだと自覚したらどうなってしまうのかと恐ろしくなる。
キャラクターが自分の設定に不満を持って、物語を崩壊させるって…うまく言葉にできないけど心がざわつく…怪異譚というか。
そして光源氏が憎くて、それでも殺せない女たちを見ていると、「綺伝」の二人が思い起こされたりもして、七海さんも居ますし。
最後に若紫に光源氏を殺させようとするエグさ、末満さんらしいなと思った。
若紫は「男」がどんな設定でも「お兄様」と呼んで、「光源氏」もしくは「男」だと認知できているようだったのが気になる。
藤壺とよく似た顔の若紫、両方紫式部だったのかなと想像。
藤壺光源氏の愛が決して届かない遠い存在=作者とファン。
若紫は紫式部が「自分の作品を愛してくれた人を無下にできない」という、読者に寄り添いたい作者の気持ち。


▼今回の刀剣男士について感想。
刀ステは毎回物語の方が壮大で、正直1回目はキャラにがっつり集中できない笑
もう1回観に行くので、キャラの方は2回目でちゃんと観れたらいいな。

にゃん…南泉
とにかく可愛い、今作の明るさとツッコミ担当。
南泉がいてくれるから会話が回る。
歌仙や大倶利伽羅のことも気にかけてくれる、素直で仲間想いな良い子。
光源氏へのツッコミが的確すぎてスッキリする 笑

姫鶴
気だるげで美しい姫ちゃん…。
南泉との絡みが多くて、見た目の美麗さと会話の可愛さの両立が楽しい。
なんだかんだ一文字一家で一緒にいるところも。

御前
ビジュアル好み!
戦ったあととかに、ふわっと笑う表情が美しくて。
山鳥毛と一緒に行動していることが多くて眼福。

山鳥
スタイル良すぎ…。
ゲーム立ち絵でもある、サングラスからちらっとこちらを見遣る仕草も素敵。
戦闘の腰を落として踏みこむ構えで足の長さがが際立つ。

倶利伽羅
光源氏の設定を与えられても好戦的なの可愛くて笑っちゃった。
好戦的で単独行動しがちなところは、他の大倶利伽羅と割と似てるなという印象。

歌仙
ずっと歌仙と対峙していた七海さんが歌仙を演じてくれること自体が感慨深い。
ガラシャ様(映像)も登場して不思議な感じ。
この歌仙はわりと感情で動くタイプ?
刀ステ本丸の歌仙とちょっと雰囲気違うように感じた。
若紫を守ったり、時間遡行軍を逃がして骨が見つかるかどうかは賭けのようにしたり。
他の歌仙は“力で押し通す”印象なので、最後まで時間遡行軍を追いかけて不安の芽は摘んでそうなイメージだけど。


▼そのほか思ったことメモ
歌仙が「ガラシャが元主」と言っていたり、大倶利伽羅が「徳川家の刀」と言っていたり、なんだかちぐはぐで不穏…と思っていたら、顕現実験用の本丸とのこと。
今回は「別の物語」を付与されたらどうなるかという実験…政府もひどいことをする。。
ということは、通常の本丸ではなく、政府管轄の本丸なのかな。
結局、歌仙も大倶利伽羅も自力で、本来の物語を思い出したので、別の物語を付与することは不可というのが実験結果か。
全ては三日月に繋がる、とここでも三日月の話がでてくる。
この本丸も三日月との因縁があるよう…どこの本丸も大変。
あと、歴史改変してまで生き残った、的なこと言ってた??

山姥切も登場。
演練で出会った、強い目をした、別の本丸の山姥切。
これが刀ステ本丸の山姥切なのかな。
極めてないので、修行に出る前の時間軸か。

キャスト発表されたとき、ヅカオタの方々が「光源氏のキャスティングがやばい」と噂されていましたが、即理解でした。
瀬戸さんの光君が美男子すぎる。
登場した瞬間の佇まい、纏っている空気で心を掴まれる。
ゆったりと発せられるセリフに漂う高貴さに、さらに飲まれる。
光源氏としての貴族としての振る舞いと、後半に明らかになる一人の男としてのやや狂気じみた作品そして作者への愛の二面性も素晴らしい。

どの役も、源氏物語の登場人物としての振る舞いと、歴史上の人物や登場人物だと自覚した状態と、役の雰囲気が変わって二度おいしい。
特に、フランクで明るくて場を盛り上げてくれていた小少将の君が、貫禄のある弘徽殿の女御に切り替わる瞬間とか、迫力に一瞬びっくりするほどで、序盤から「役が切り替わる」という設定にワクワクする。

時間軸…別本丸なので、刀ステ本丸の物語のどこに差し込まれるということもないけれど。
(タイトルが埋まっていく演出もなかった)
綺伝の獅子王が「物語に出陣なんてことも」と言っているのと、黒田孝高が「物語を歴史に」と言っているのも含め、綺伝の裏あたりかなと想像したり。
今作では黒田孝高の名前は出ずなので、そこと繋がってるかは微妙。


なぜ女性キャストだったかについて想像。
まずは、「別本丸」として確立したかったのではないかなーと。
刀ステ本丸でキャスト変更があった刀剣は二振り名前があったりしたので、末満さん的には、別キャスト=別個体の設定なのかなと。
その場合、「禺伝本丸」の刀剣を演じた役者さんは刀ステ本丸には顕現できないので。
(科白劇はキャスト決定後の脚本変更だったので例外として)
男性キャストは刀ステ本丸にとっておき、なおかつ源氏物語という世界に合ったキャスティングなんじゃないかなと。
あとは、源氏物語の登場人物として女性キャストが多いので、舞台上のバランスとか、そのあたりの諸々の事情もあるのかなとか。

相変わらず刀ステは情報量が多い笑
過去作との想像もしたいし、過去作のことは考えずにこの作品だけに集中もしたいし。
1回じゃ足りない!
無事に大千秋楽を迎えられることを祈ってます。