朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

舞台ハガレン

舞台「鋼の錬金術師」行ってきました。

開幕が大阪でしたので、東京公演までネタバレを踏まないよう注意を払って前情報なしで観劇。

stage-hagaren.jp

 

 

ネタバレ感想

 

 

ダブルキャスト
3/21昼
エドワード・エルリック:廣野凌大さん
ロイ・マスタング和田琢磨さん
ニーナ・タッカー:尻引結馨さん

3/25昼
エドワード・エルリック:廣野凌大さん
ロイ・マスタング:蒼木 陣さん
ニーナ・タッカー:小川向日葵さん


ハガレンに触れるのはアニメ視聴ぶり。
細かい設定は忘れているところもあるので思い出して懐かしくなりつつ、舞台版だとカットされているところもあるので、またアニメも見たくなったり。
キャラクターの年齢設定をすっかり忘れており、アル14歳・エド15歳に驚いた。
アニメ見ていた当時は年上とか同世代だったので彼らの行動は憧れだったけれど、今見てみるとそんな幼い設定だったのかと、また見方が変わってくる。

物語としては大きな出来事(山場)があるというよりは、演出の石丸さんやキャストさんたちも今作を「旅」と仰っているように、エルリック兄弟の旅路(人生)を一緒に追っているようなイメージ。
人体錬成、イシュヴァール戦、キメラ、錬金術、魂の定着…錬金術師たちの過ちやそれに至る理由、そして錬金術では成しえない人の命の尊さが描かれる。
錬金術でのバトルや、軍やホムンクルスの暗躍といったサスペンス要素や、色々な側面があるけれど、舞台版は命を巡る人間ドラマの部分を主軸にしているところが石丸さんらしい。

物語のスタートは列車ジャック事件から。
「チビ」と呼ばれたエドが膝蹴りで飛びかかる動きがアニメのエドのイメージと重なって一気に引き込まれる。
アルの鎧姿も、ビジュアルがそのままな時点で驚きだけれど、さらにそのまま走ったりアクションするから驚き。
生バンドの音楽も気分が上がる。

イーストシティでは、タッカーさんの話からスカーとの衝突。
ハガレン序盤のエピソードで、やはりタッカーさんのキメラ錬成の物語は外せない。
兄弟が母親を人体錬成した過去編も挟みつつ。
錬金術は万能ではないこと、禁忌と代償…理論的に可能であるということと、人として犯してはいけない領域があること、錬金術の欲望と理性が描かれる。
知っていても、ニーナとアレキサンダー合成獣は、意識を保ったままあの姿にされたことを思うと悲しさと同時におぞましさを感じる。
傷心の中、雨の中のスカー戦。
兄弟喧嘩を見守る軍のメンバーが好き。
兄弟には敵も多いけれど、味方をして(物理的にも立場的にも)二人を守ってくれるくれるしっかりした大人がいてくれることが救い。

マルコーとの出会いから、賢者の石の手がかりを求めてセントラル・第五研究所へ。
死刑囚から「記憶も魂も本物か?」と吹き込まれたアルの苦悩。
ウィンリィの「自分の命と引き換えに偽物の弟を作る馬鹿がどこにいる」という言葉はもっともだけど、魂だけで存在しているアルの不安はもっともだなとも思った。
鎧に定着させているから動いたり喋ったりできるけれど、本来魂は本人も存在を自覚できないような不確かなものだし。
でも、屋上での兄弟の会話で「どっちがウィンリィをお嫁さんにするか喧嘩した」という過去をアルだけが覚えていたので、エドが自分の記憶をもとにアルを生み出したわけではないとう証明になっているのかと思った。

そして、私的クライマックスはヒューズの死。
わかっていた…知っていても辛い。
雰囲気がアニメの、大好きだった「藤原さんが演じるヒューズ」とすごく重なって。
藤原さんを思い出して悲しいのと、再び理想のヒューズが観られて嬉しいのとで泣きそうになる。
電話ボックスでロス少尉が偽物だということには即座に気づいたのに、偽物だとわかっていても妻の姿をした敵を攻撃できない優しさ…反撃しろと何度心の中で思ったか。
事切れたヒューズと電話がつながったロイの声色が、徐々に嫌な予感を感じて変わっていくのがまた。

物語の最期はラッシュバレーでの出産の立ち合い。
錬金術が生み出すことのできない命の誕生に立ち会う兄弟。
舞台で生身の人間が演じる出産シーン(壁の向こうなので見えてはいないけど)はリアルさがある分、痛々しくてちょっと見ていてしんどかった。
ラストはダブレス行きの列車に乗るところで「to be continued」

ロイは和田さん・蒼木さん両方観劇。
お二人とも青い軍服が良くお似合いで、ポケットに手を突っ込んでる立ち姿が映えること…!
和田さんロイは普段は感情が顔に出るタイプで、ヒューズの惚気を本気でうっとうしそうにする反面、感情が溢れると逆に落ち着くイメージ。
ヒューズ墓前やイシュヴァール回想では、怒りや苦しみを負っているけれど言葉や表情は呆然として見えた。
蒼木ロイは普段は優しくて、ヒューズの惚気を呆れながら笑って聞いてくれるタイプ。
イシュヴァール回想の「なぜこの国の民を殺している」というところは、和田ロイより“怒り”が表情や声色に出ている印象。
今まで拝見した蒼木さんのキャラは明るく元気系が多かったので、大人っぽく静か構えているようなキャラが新鮮でかっこいい。

個人的には軍内部の不穏な感じと軍のメンバーが好きなので、続編があれば出番がほしいところ。
ホークアイ@佃井さん、さすがアクション俳優さん、機敏な動きと銃の構えがかっこいい(とくに「無能なんですから」のシーン)
パッと見 可愛らしい雰囲気だけれど、物理的にも精神的にもロイの背中を任せられる安心感もあって…ホークアイ自体が元々好きだったので、素敵に演じていただけて嬉しい。
ハボック@君沢さん、軽やかなお兄さんが本当に似合う、最高、それに尽きる。
アームストロング@吉田さん、筋肉までビジュアルそのままなのが素晴らしい。
ブラッドレー@辰巳さん、存在感。登場するとピシッと圧と緊張が走る感じ。

ホムンクルス、スカー、キンブリーなどもハマり役。
キャラが多い分それぞれの出番があまり多くはないところがもったいない。
物語としてはまだ序盤も序盤、舞台は続くのだろうか。
バラエティに富んだキャスト陣だけれど、続編あるならキャス変なしだといいな。