朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

映画刀剣乱舞 黎明

「映画刀剣乱舞-黎明-」観てきました。

前作「継承」が面白かったので期待半分、ハードルが上がってるので不安半分でしたが、個人的には及第点、これはこれで面白かったなという感じ。

touken-the-movie.jp



ネタバレ感想
※初見後・パンフ未読
 1回しか見ていないので、細かい見落としや記憶違いがあるかも。



前作は歴史IFサスペンス、今作はタイムスリップ異能力バトルという感じ。
脚本家さんが変わったこともあるだろうけれど、事前特番で現代設定を提案したのはニトロさんと仰っていたし、脚本家さんにいく前にどの程度設定が決まっていたのかは気になるところ。

前作と物語の雰囲気が違いますがこれはこれで面白かった。
どちらが好きかと聞かれれば前作だけれど。
ただ前作は刀剣乱舞知らなくても歴史IFが好きな人は楽しめたと思うけれど、今作はベースが刀剣乱舞の設定ありき、なおかつ、ほぼ現代の物語なのでとうらぶファン向けだなとは思う。


▼物語の始まりは平安。
藤原道長の命により、鬼退治と称して源頼光が山奥に暮らす人々(山賊的な感じだろうか)の討伐を行っていたところ、時間遡行軍が介入し、刀剣男士が現れる。
酒呑童子と呼ばれた人間は討伐に激怒し(時間遡行軍の力を借りて?)鬼と成り、日本の未来を呪うと同時に山姥切を消滅させる。

撮影は大変そうだけど、山の中を駆ける刀剣男士と、暗闇の中で妖しく目を光らせる時間遡行軍が見られるのは映像作品ならではで見栄えする。
ただ、三日月が頼光に対して言う「御前を少々騒がせまするが…」というセリフがこの映画で個人的に一番残念だった。
前作は、信長が自害するところで戦闘を始めて“騒がせた”けれど、今作は頼光が臨戦態勢なので騒がせるというセリフに違和感。
前作を踏襲すること自体は別に良いのだけれど、これは場面に合っていなくて単に前作で人気だったセリフを使い回しただけのように感じてしまった。

▼山姥切を追いかけた三日月は2012年の東京へ
現代に来たことで存在を保てなくなった三日月は、女子高生・琴音を仮の主とすることで力を取り戻す。
同じ頃、長義が時の政府から派遣され、京都では髭切・膝丸、福岡では長谷部が特命調査の任を負って顕現する。

異なる本丸から刀剣男士が派遣され、そして現代日本にも審神者の素質を持った人間が複数いるという設定は良かった。
本丸も審神者も数多存在しているのが刀剣乱舞という作品の設定の好きなところなので、それが感じられるのは良い…が、三日月以外がどうやって仮の主と出会ったのかは気になるところ。
これ以上尺が延びるのは厳しいということはわかるけれど、主要人物にしてはややぼんやり。
刀剣男士は見せ場があるけれど、仮の主たちは主要人物にしては出番が少なめな印象。

髭切・膝丸:髭切(本体)が北野天満宮に在るので兄者が実体化できたのはわかるけれど、膝丸は兄者との絆パワー…?
長義:本体は名古屋の徳美なので政府(東京)にはないはず…政府権限による顕現…?
長谷部:福岡なので本体の場所としてはOK、三日月と同じようにたまたま近くに実弦(ギャル)がいたから仮の主とした…?

黎明本丸の三日月が「気を逸らす」特殊能力を持ってるのびっくりしちゃった笑
(長谷部もバス乗るときやってたのかな…)
三日月のウィンクといい、この後出てくる「鬼」(人の心)のデザインといい、全体的に今作はポップな感じだなと。

▼人間が「心」を失くす事件
青年・伊吹は、心を失った弟に他人の心を移すことで弟の自我を取り戻そうとしていたが、本当は弟は既に亡くなっていて、時間遡行軍に利用されているだけだった。
時間遡行軍の狙いは伊吹を使って人から心を奪うことで、心を励起させる審神者が生まれない未来・刀剣男士が顕現しない未来を作ろうとしていた。

物語の核心部分。
審神者が生まれなければ歴史改変を阻止されることはないという壮大な作戦。
酒呑童子 ⇒日本の未来を呪ってやる(日本が消滅しても構わない)
・伊吹 ⇒心を集めて弟を救いたい(弟が既に死んでいるならどうでもいい)
・時間遡行軍 ⇒審神者が生まれない世界をつくる(人間の心を消滅させたい)
と、敵が三つ巴状態で混乱してくる。
酒呑童子と伊吹は同じ姿(中山さん演)だけれど、生まれ変わりとかではなく、酒呑童子の角を拾ったことで伊吹の能力が増強されてるイメージ?
時間遡行軍は日本消滅されると困るだろうから、かなり綱渡りな作戦してるな。

山姥切は心を失いつつ、伊吹を主としているけれど、このあたりの出会いも描かれていないので謎。
酒呑童子に消されて現代に飛ばされ、三日月たちと同じように偶然出会った伊吹と仮の主従関係を結んで、なおかつ心を奪われた?

▼時間遡行軍との戦闘
アクションシーンはさすがのクオリティの高さ。
前段の伊吹のアパートでの、三日月・山姥切・長義の戦闘も好き。
映像としても良いけれど、単純に三人の殺陣がうまい。
サプライズ出演の刀剣男士たちも今作はアクションもあり、がっつり動いている男士たちが観られて嬉しい。(舞台でもまた観たい)
幕末組とか、三池コンビとか、好きな男士が多くてそこは映画に感謝。

今作の本丸について想像ですが、前作の継承本丸とも全く異なる本丸の話だと思っているけどその認識で合ってるのかな。
サプライズ出演の男士たちも、一緒に顕現した子たちは同じ本丸から遣わされてきてそうだけど、基本はゲームの大侵寇みたいな感じで多数の本丸の共闘作戦なイメージ。
継承からの続投かつ、刀ステ出演メンバーは、継承本丸・黎明本丸・ステ本丸の掛け持ちになるのか。
撮影やアクションへの慣れとか、役作りにかけられる時間とか、諸々あると思うけれど、違う本丸なら映画は映画でキャストを変えても良いのではないかなと思ったりもする。
このキャストで映画やってくれるのは嬉しいけど、キャストが同じだとどこの本丸の男士か一瞬混乱するし、キャスト違い(個体ごと)の個性も見てみたい。

刀ミュからは石切丸@崎山さんがご出演。
映画はミュともステとも全くの別作品だけど、キャストはステ寄りなのは殺陣の経験値とかだろうか。
石切丸…というか崎山さんが選ばれたのはムビステとか仮面ライダーとかのご縁か。
確かにサプライズの短時間出演の人に時間を割いたりとかできないんだろうなと想像できるけど、せっかくならミュからも出演者がいると色々な本丸が混ざってる感があって良いんじゃないかな。
ステキャストとミュキャストの組み合わせで同じ本丸とか面白そう。

それにしても、心を失った人間たちが「静止」しているのがまた謎。
心を失い、淡々とロボットのように生活する…というならわかるけれど、心を奪われた瞬間に活動が停止してしまっては、審神者が生まれない以前に日本が機能停止(実質消滅)してしまうのではと思う。

▼エンディング
酒呑童子を断ち切って無事に人々の心を解放し。
時間遡行軍も打倒して物語は終結

最後の最後で長谷部の仮の主、実弦の苗字が「黒田」だと知る長谷部…。
ステの「長政様…」のときと同じ顔してるぞ笑
守った歴史の先には審神者がいるけれど、過去には元主がいるというのは良かった。
この辺も、長谷部が黒田刀だと視聴者が知ってる前提だけど。

****
そんな感じで、全体的にアクション&刀剣乱舞の設定を生かした作品としては面白い。
けれど、酒呑童子の呪い・人の想い・仮の主・複数本丸と、話を広げすぎて細かい説明が足りていない感は否めない。
個人的にはやっぱり、現代よりも過去の歴史の方が好きだな。