新作歌舞伎「刀剣乱舞 月刀剣縁桐」
7/9夜公演行ってきました。
初めての歌舞伎観劇。
興味はあったけどなかなかきっかけが無かったので、刀剣乱舞のおかげでまた新しい世界を開けたことに感謝。楽しかった！
ネタバレ感想
ほとんど知識がない状態で、楽しむ以前に物語についていけるかが一番心配でしたが、結論としては想像以上にわかりやすく、内容もある程度理解できた上で面白かった。
普段はネタバレを避けてパンフは観劇後に読む派ですが、さすがに開演前に筋書のあらすじにざっと目を通して予習。
前半の物語はあらすじでほぼ網羅、後半も前半に登場した人物で展開されるので登場人物が把握できていればついていける感じ。
刀剣乱舞の基本設定はそのままだし、永禄の変は刀ステでも題材になっていたので、そのあたりの予備知識があったのは助かったかな。
セリフも現代語ではないけれど、普通に理解できるレベルに噛み砕いた古語という感じで聞き取りやすかったのも良かった。
開演前からYoutubeで案内人をしていた押彦さんと武彦さんが客席を練り歩いて「開演前は写真撮って良ですよー」と案内しながら客席を回ってくださっていて、大らかというか朗らかな空間。
衣装の模様といい、物語の冒頭の報告の様子も見ていて思ったけど、押彦さんと武彦さんってこんのすけがモチーフ？
物語の舞台は永禄の変。
主（歌舞伎本丸の審神者は音声のみ）の命により出陣していく刀剣男士たち。
歌舞伎のビジュアルになっているんだけど、ちゃんと刀剣男士としてかっこ良く見えるのが不思議。（審神者の贔屓目？笑）
足利義輝の護衛をしながら時間遡行軍の目論見を探る前半。
舞いがあったり、立ち回りでは3階席まで客席通路使ったりフライングがあったり、花道もふんだんに使ったり。
そういうのを見ると、歌舞伎って意外と（良い意味で）ショー感があるジャンルなんだなって思う。演目にもよるだろうけど。
時間遡行軍のビジュアルは結構ゲーム寄りで、短刀・脇差・薙刀などちゃんと色々な刀種の遡行軍を出してくれるところが嬉しい。
舞い（足利義輝の将軍就任の場）では、刀剣男士それぞれに曲と振り付けがあったのがめっちゃ良かった。
それぞれキャラのイメージにも合っているし、小烏・膝丸・三日月の雅やかな古刀と、足を踏み鳴らす力強い同田貫の対比が良い！
インタビューで尾上さんが「無骨さが欲しくて同田貫を入れた」というようなことを仰っていたけど、良いアクセントになってる。
小狐丸と髭切は兼役なので不在なのがもったいないけれど、4振りで居るのを見ると、見た目的にも物語的にもスッキリしていて観やすいなとは思った。
前半ラストでは刀剣男士6振りだけの場面が入っていたのも嬉しい。
兼役を匂わせるメタ発言とか、源氏兄弟の名前を忘れるくだりとか、この本丸の刀剣男士たちも仲良さそう～と思えるわちゃわちゃしたやり取りが可愛い。
歌舞伎のビジュアルでも刀剣男士が可愛く見える不思議。
後半は義輝が歴史通りに永禄の変で命を落とすよう刀剣男士が奔走する。
三日月は松永親子に史実と時間遡行軍の目的を伝え、義輝暗殺に導く。
ラストの義輝もだけど、歴史上の人物たちの「史実」というものに対する理解と自らの運命を受け入れる度量が深すぎる。美しい潔さ。
（新橋演舞場初めて行ったけど座席の段差は低め？
舞台中央で倒れている久直の死に際がちょうど前の人にかぶって見えなかったのが残念…！）
源氏兄弟は義輝を操っている異界の翁・媼、そして二人に力を貸している禍獣討伐へ。
翁・媼の服が蜘蛛の巣模様だったり、禍獣にツノがあって鬼っぽい見ためなのは、源氏兄弟の蜘蛛切・鬼切のエピソードがモチーフだったりするのかな。
クライマックスは三日月と義輝の一騎打ち。
元主との戦闘はやっぱり舞台で映える、刀剣男士としては辛いところだけれど。
歌舞伎本丸の三日月は部隊長気質のしっかりした印象だけど、それでも元主との一戦には一瞬逡巡したりするんだよね。
（松永久秀が義輝暗殺の覚悟を決めたにも関わらず、この場に居合わせていないのが気になったけど・・・何かセリフとか聞き洩らしたかな）
舞台全体を使った滝のセット、盆が回り、スモークも使った一戦は迫力あって美しい。
というか、一場一場、幕が閉まってしっかりセット転換するからどの場面もセットが大きくてめっちゃ凝ってる。
普通の舞台と比べると多少転換に時間はかかるなと思ったけど、このセットをあの時間で組み上げてるのかと思うと驚く。
カーテンコールは写真撮影OK。
花道まで来て（私は逆サイドだったけど）お手振りしてくれたりサービス満点。
期待以上の楽しさで満足でした。
永禄の変を少し調べ直したところ、松永久秀の息子の名前は久通？
劇中の久直はオリジナルキャラなのかな。
史実で義輝を暗殺したのは久秀ではなく久通の説が有力っぽいので、義輝暗殺前に亡くなる息子として新たに役を立てたのかな。
