朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

ムーラン・ルージュ!

ムーラン・ルージュ!」
8/16昼公演行ってきました。

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ネタバレ感想

プリンシパルキャスト組合せ
ティーン :望海風斗さん
クリスチャン:甲斐翔真さん
ジドラー  :橋本さとしさん
ロートレック:上川一哉さん
デューク  :Kさん
サンティアゴ中河内雅貴さん
ニニ    :藤森蓮華さん

原作映画未視聴で、チケットのお値段もあり二の足を踏んでいましたが、友人に誘ってもらって思い切って行ってきました。
ドはまり!というわけではなかったけれど物語も面白かったし、作品仕様の絢爛な劇場も見ることができて一回行く価値はありでした。


物語の舞台は、19世紀末~20世紀初頭のパリ。
ナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」のスター・サティーンを中心にした恋愛もの。
ティーンは作家のクリスチャンと恋に落ち、クリスチャンらボヘミアンたちと新しいショーを打ち出そうとする。
しかし、パトロンであるモンロス公爵はその財力でサティーンもショーの内容も自らの思うままにしようとする。

店のスターであるサティーンがモンロス公爵を繋ぎ留めて支援を得なければ、経営危機のクラブは立ち行かなくなり従業員たちは露頭に迷ってしまう。
しかし、サティーンの本当の愛はクリスチャンの元に。
店と仲間を守ることと、クリスチャンとの恋を天秤にかけなければならないサティーン…スターとして気丈に振舞う彼女は美しくかっこいいけれど、彼女一人が負う責務が重すぎて苦しかった。

しかも、ショーの初日を終え、結核によって息を引き取るという死別エンド。
公爵のものにはならず、愛するクリスチャンの曲を世に披露して彼の腕の中で死ぬことが彼女にとって幸せだったのか…クリスチャンと結ばれる道は無かったのかと考えてしまう。
ショーを成功させて店の経営も立ち直ってハッピーエンド、というストーリーを想像していたので死別エンドは意外だった。
ティーンの死後のショーの評判や店の経営、サティーンを失ったモンロス公爵などについては言及されず、店のために命を懸けたサティーンの行動の結果がわからないのが少し残念。
望海さんのサティーンはスレンダーな見た目や所作の一つ一つに美しさがあって、全体的に気品のある雰囲気。
それ故に繊細さも感じられて、気丈に振舞っているけれど根底に不安や弱さを抱えていそうに見える。
物語自体はコメディ要素も多く、ボヘミアンたちとの賑やかなシーンのサティーンが可愛いくて、幸せな姿をもっと見ていたかった。

物語はクリスチャンの回想形式のモノローグで展開されていく。
ティーンの死後に回想しているのだろうけど、語りに悲壮感はなく、残されたクリスチャンにとってはバッドエンドというより良い思い出に昇華されている印象。
ティーンのことは大切で、彼女を想いながら作曲し続ける一方で、これは過去の恋として新しい恋にも踏み出せそう、というか踏み出してそうな雰囲気さえある。
ミュージカルの恋愛は一途で重ためなイメージなので、ヒロインの死を乗り越えているのは新鮮。

甲斐さんのクリスチャンは、サティーンのことが大好きで浮かれてるのがたまらなく可愛い。
他の作品の感想でも書いたけど、ミュージカルに登場する「ヒロインに一目惚れして浮かれちゃう男」が好きなのでクリスチャンも見ていて楽しい。
浮かれて、嫉妬して、自棄になって…店よりもショーよりも彼女のこと、ひいては“彼女と結ばれる自分”のことしか見えていなくてどうしようもないけれど、甲斐さんが演じることで「若さ」ゆえに周りが見えなくなっている納得感がある。
ノローグの落ち着いた雰囲気と、浮かれている雰囲気のギャップがあって、クリスチャンの成長というか若かった自分を振り返ってるように見える。
井上さん×平原さんの組み合わせまた全然雰囲気変わりそう。

音楽が、クラシック、オペラ、ポップス…色々なジャンルを織り交ぜて編曲されていて聞いたことのある有名な旋律がたくさん散りばめられていて面白かった!
反面、ミュージカルとしてこの作品のオリジナル曲(がそもそもあるのか)はあまり耳に残らなかったかなーという感じ。
でも、ダンスも曲もパワフルで明るい曲が多くて楽しく、元気をもらえた。

舞台セットの撮影OKというのは帝劇では珍しい?
レースのような透かしの入った華やかな赤いセットが本当に美しかった。
※開演前でも、キャストさんがステージに上がり始めたら撮影NGになるので、写真撮る方はお早めに。NGになるタイミングが分かりにくくて、スタッフさんが注意して回っているのが大変そうだった^^;