朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

言式 解なし

梅津瑞樹さんと橋本祥平さんによるユニット言式の旗揚げ公演「解なし」行ってきました!

お二人のお芝居は元々好きでしたが、さらに梅津さんが脚本演出ということで、これは行くしかないと。
チケットの倍率が高く大変でしたが、何とか1公演行くことができました。

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ネタバレ感想



オムニバス形式の舞台は久しぶりに観たけれど、やっぱり結構好きな形式だなと改めて思う。
2~3時間かけて物語を作り上げ、伏線回収や“解”が提示される舞台も好きだけれど、オムニバスの良い意味での「やりっぱなし感」。
まさに解なしというか、物語の余白や瞬間的な面白さを楽しめるライトな感じが心地良い。
あと色々な役のお芝居が観られてお得感 笑

役柄の設定はこんな感じかな。
・とある男女
・久しぶりに再会した幼馴染
・金持ちな男と貧乏な男
・刺身工場の同僚
・役者と演出家

・とある男女
男女の出会いから、結婚、出産、年老いて死ぬまでの一生。
セリフは「あ」という感嘆詞のみというシンプルなお芝居が、旗揚げ公演の初っ端らしいなと思った。
衣装もセットも白で統一された空間で成されるお芝居に、想像力が掻き立てられる。
あと、ロクマチとかで見るようなお二人のオーバーめのお芝居が最高に好きなのでめっちゃ楽しかった。

・久しぶりに再会した幼馴染
夢を追って都会に出たけれど仕事が上手くいかない男(橋本)と、地元で変わらず暮らす男(梅津)
いや、もう、梅津さんが木の姿で登場したときは困惑…自我を持った木なのか、木の姿をした人間なのか…そんなシュールさも受け入れてくれるのがオムニバスの良いところ。
結果は後者で、変わってしまった橋本に昔を思い出させるため、橋本を木の姿にして思い出のセミの抜け殻を付けていくという、ややホラーみのある展開。
シュールとかサイコホラーっぽい展開が好きなので、物語として好みだった。

・金持ちな男と貧乏な男
金持ちの男(梅津)の家に来た友人の男(橋本)
橋本は、物は替えがきくが、友情は替えのきかない本物だと説き、梅津から物を巻き上げようとする。
梅津は友情に絆されそうになるも、橋本の横暴さに最後は目を覚ましたか・・・?
コメディテイストだけれど、友情、物欲、満たされない心あたりは痛いところをついてくる。

・刺身工場の同僚
刺身のパックに花を乗せるアルバイトをする男(橋本)と、同僚と工場長(梅津・兼役)
夢を追うためにバイトをする橋本と、家族のために働く工場長の哀愁の叫び・・・といいつつ、ベルトコンベアを走り回ったり転げまわったり基本はコメディベースで笑える。
あと毎回言うけど、梅津さんの中年とかじじいの芝居が好き。

・役者と演出家
役者(橋本)と演出家(梅津)
梅津さんが折りたたみ椅子持って客席を自由に動き回るのが面白すぎ。
カテコでのご本人曰く、行く場所はその日の気分次第だそう笑
実は役者の橋本は既に亡くなっていて、これまでのオムニバスが上演予定の物語だった?という流れに。
そして劇場も取り壊しの工事が始まるということで、ゴウンゴウンという工事の音も鳴ってくるが、けど、公演の一番最初の男女の一生が始まる前にも同じゴウンゴウンというSEが入っていたような気がする。
なので、このオムニバスは「取り壊される劇場に居る演出家」が想像していた舞台なのかな。
個々の物語と思っていたものが最後に繋がっていくのが鳥肌。
そして、かなり簡易的なセットだなと思っていたけど、まさか取り壊し工事でセットが倒れる演出とは、二重三重に驚きがあってクライマックス面白かった。

どれも物語自体も面白いし、お二人の全力のお芝居にもどっぷり浸れて、楽しかった。
カテコで、来年 再来年とユニット活動を続けたいと仰っていたのでこれからも期待。
お二人とも個々のお仕事も忙しそうなので、年1くらいになるのかなー。
長編やゲストを迎えての公演も面白そうだけれど、シンプルにお芝居を味わえる二人芝居もまた観てみたい。