朧月夜の独り言

趣味に関する備忘録と少しの日常

LUPIN カリオストロ伯爵夫人の秘密

ミュージカル・ピカレスク「LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~」

11/11昼公演観劇してきました。
東宝新作ミュージカル!古川さん単独主演!とめでたい作品。
小池先生×ドーヴ・アチア氏というタッグも気になり、楽しみにしていました。

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ネタバレ感想

Wキャスト
ボーマニャン:黒羽麻璃央さん
カリオストロ伯爵夫人:真風涼帆さん


ストーリーやキャラクターに対しては正直ツッコミどころ満載。
でも、そのツッコミどころも含めてエンタメな、美しい歌とダンスとビジュアルに飲み込まれて楽しくなれる作品。(ノリと雰囲気がだけで言うとTDVが近いかな)
そもそも、ルパンやカリオストロ伯爵夫人、シャーロックホームズら自体が架空の物語の人物なので、いつもの東宝ミュの歴史を題材にした作品とは違う思考・目線で見るモノかなというところ。
あと私はわりと小池先生の少女漫画ノリな演出好きなので。


物語の主軸なる財宝はテンプル騎士団が残した宝の在り処を示すという「7本の黄金の枝」。
財宝を狙ったカリオストロ伯爵夫人はルパンの名を語り、夜会に乗じて5本の枝とクラリス嬢を屋敷から盗み出す。
しかし、ルパンはクラリス嬢を奪い返し、父親の借金により政略結婚させられそうになっている彼女を自分の隠れ家に連れ帰り、ルパンの生い立ちと義賊としての振る舞いを知ったクラリス嬢はルパンと恋に落ちる。
刑事・ガニマール、クラリスの父から要請を受けたシャーロック・ホームズ、ルパンオタクの高校生探偵・イジドール、そしてクラリスの政略結婚相手・ボーマニャンはルパンとクラリスの行方を追う。
カリオストロ伯爵夫人と手を組み7本の枝を揃えたルパンはテンプル騎士団の財宝の在り処を探し当てるが、伯爵夫人の裏切りに遭い――。

登場人物たちの向いている方向が違いすぎてあらすじがまとまらない笑
プレイボーイなルパン、男も女も魅了するカリオストロ伯爵夫人、可憐なクラリス嬢、そしてテンプル騎士団の財宝・・・自分の手に入れたいもののために全員が違う方向に全速力で駆けていくようなドタバタコメディ?


古川さんのルパンは変装で鑑定士・貴族・記者・女性歌手など色々な姿が見られて、
ソロナンバーやダンス曲も多く見ごたえがあってこれだけでも観に来た価値あり。
最初のルパンのソロ曲、ポップスっぽい曲調と古川さんの歌い方と役の雰囲気と色々相まってなんだか少しだけセバスチャン(@黒執事)をふと思い出して一瞬懐かしい気持ちがよぎった。
序盤は胡散臭い怪盗紳士だったけど、後半は伯爵夫人に裏切られてボロボロになるわ、クラリスに本気で恋してプロポーズしちゃうわ、どんどん人間くさいというか素の“ラウール”が出てくるところが面白すぎ。
クラリスに近づいたのは黄金の枝の手がかりを探すための芝居だとばかり思ってたので、まさか本当の恋だったんかーいとツッコミたくなるラスト。

クラリス嬢は慈善事業に対しては真面目で自立心のある女性だけれど、恋愛に関しては純潔を守りたいと言いつつガードが甘い。
連れ去られてジェーブル伯爵の優しさを素直に信じて心を許したり、ルパンが語る生い立ちを鵜呑みにしたり、世間知らずなご令嬢感?が満載。
ジェーブル邸に連れて来られてそのままベッドに寝かされたんじゃなくて、伯爵と一杯やってお酒で記憶を飛ばした上に、純潔が守られていることに対して簡単に「物足りない」と言っちゃうところにはさすがに無防備すぎて内心で全力ツッコミしてしまう。
ルパンの生い立ちはクラリスを取り込むための嘘だったのでは…と最後まで半信半疑だったけど本当だったのか…。
舞台開幕最初のナンバーの真彩さんの歌声が美しくて、いっきに舞台に引き込まれる。

カリオストロ伯爵夫人も男装や貴族のご婦人など、衣装替えが多くてオイシイ。
今回の舞台で一番謎多き人物で、徐々に正体が明かされていくのが良い…まだ初日明けたばかりなのでこのあたりの詳細は少し伏せておきますが。
地図のシーンで「北斗七星」を知らないことが違和感でしたがそれは伏線だったのか、最後に明かされた事実で納得。

ボーマニャンは、また帝劇に立ってる黒羽さんが観られて嬉しいというのがまず。
ロビーでも「ルキーニやってた人だね」という話し声が聴こえてきて、グランドミュージカルの人として認知されてきているのが何だか嬉しい。
ちょうど先日発売のエリザベートの円盤を見ているところなので、古川さんとの並びを見るとエリザベートを思い出す。
ボーマニャンは表向きはクラリスに結婚を迫る男だが、裏では秘密結社を仕切り盗掘を行う悪党…だけどクラリスにも伯爵夫人にも振られ続け、どことない小物感が愛しい笑
ルパンとクラリスのいちゃつきを見せつけられて、突然ツッコミキャラになるのもw
伯爵夫人とヨリを戻そうとしていたはずなのに、なぜかクラリスを賭けて決闘を始めるところは??でしたが、人が羨むもの/他人のものを手にすることが彼の行動原理なのかなぁ。

小西さんのシャーロック・ホームズはキャラ崩壊が激しいw
コカイン中毒は原作設定だけどそれを前面に出してきたり、伯爵夫人に騙されてなお夫人を追いかけたり、ルパンのライバルであることをめっちゃ主張してきたり、かなりコミカル寄りにキャラ付けされているタイプのホームズ。
目の前でルパンが倒れてるのに捕まえないんかーいとツッコみたくなる笑
ホームズにとっては依頼もない上に、他人の罠で弱っているライバルを捕まえることに意味はないということなんだろうけど。
というかこの物語の人々、ルパンが正体を明かしてもそれより枝の鑑定を優先したり、捕まえる気なさすぎで笑った。

気になるところは書き出すとキリがないけど(光るゴンドラとか突然のタンゴとか)
でも最近気分が落ちていたので、深いこと考えずに華やかな世界を浴びることができて元気が出る。
ドーヴ・アチア氏の音楽も耳心地が良くて好き、今作はポップスっぽい曲調が多い感じかな。
まだ客席もノリが探り探りな感があるので、客席もノッてくるとさらに盛り上がりそう。
もう1公演観に行く予定なので楽しみ。